透けて届く緑

シュンラン

【メモ】シュンラン(ラン科)

 しゅるりと姿勢よく伸びた葉。ふちで日差しを反射して、透けて届く緑の光。ここ数日の空気はだいぶぬくんでいたけれど、花芽に聞けば春本番にはまだ早い。

 これから伸びて、膨らんで、ほころぶときを迎えるのだろう。じっと眺めれば、花芽に走る脈が鼓動するような、そんな錯覚。

 見ごろを迎えた花もすてきだけれど、やっぱり心ひかれるのは、つぼみだったり、痕跡だったり、残骸だったり。美しいばかりではなくて、目立たないかもしれない、何か。

 その名前を知り、思いを募らせ、愛着を深めていく。さよならの前に、印象ひとつひとつを集めて、自分の中につくった小さな箱に収めていく。

 そんな作業をくり返しくり返し、淡々と続けていけたなら。春めいた光が、何だかやたらと目にしみた。

(2015年2月26日掲載)

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