そういうもの

コミスジ

【メモ】コミスジ(タテハチョウ科)

 強い日差しに思わず目を細めた。熱い空気に苦しくなって、一足飛びに夏が来たような錯覚におちいるけれど、からり。湿気のほうはまだまだだ。ほっとしたような、わずかに焦るような、ちょっと不思議な感覚。

 そんな感傷はお構いなしに、羽ばたき、滑空し、躍動する。だって、繁殖の季節だ。

 生まれ落ちたときから、たくさんの危機を乗り越え、わずかな確率でようやく成虫になって役割を果たす。その姿は、とても力強く、生き生きとして、それこそ最大の見せ場。

 だけどそこには必ず鏡あわせの事実があって、次に命をつないだ彼らとは、もうすぐさようなら。さみしいけれど仕方ない。

 別れに向かって出あって、終わりに向かって生きてゆく。お互い、そういうものなのだ。

(2015年5月28日掲載)

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