ここに残すもの

アカボシゴマダラ

【メモ】アカボシゴマダラ(タテハチョウ科)

 梅雨らしくないといわれても、やっぱりじめっとした空。低いところを薄雲が流れてゆく。少しざわついているようで、やっぱり何でもない日の午後。湿り気をおびた土の上に、白くぽうっと光る何かを見つけた。

 高く透かせば、ぬれた緑色の明かりを通し、こちら側まで届けてくれる。持ち主はどうしているだろう。

 きっと誰かの腹を満たしたのだ。

 外からどこかに持ち込まれた祖先が、生き延び、世代を超えてここにたどり着き、誰かの生をつないで、命を落とした。

 ヒトのしわざと、自然の営み。何が悪くて、何が良いのか。とてもまとまりきらなくて、頭も心もぐるぐる戸惑うばかり。それでも、ここに残った翅は命があったしるし。偽りなんか何ひとつない。

(2015年6月18日掲載)

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