たくさんの物語

シナノキ

【メモ】シナノキ(シナノキ科)

 待ちわびていた花がようやく開き、集まってくるのは、ハチにハナアブ、ハナムグリ。カミキリとテントウは葉にしがみついて、カメムシは悠々日なたぼっこ。奥ゆかしい色使いと甘い香りの花は、生きものたちを呼び寄せる。

 大きな羽ばたきに、重なり合う葉が揺れた。影が動く。コゲラが小さな生き物たちを狙っているのだ。それでも虫たちは誰も動じない。ひたすらに淡々と、自分の仕事をまっとうしていく。

 生きものたちが感じる季節の喜びと、その裏側の危険と、さらに先にある生き抜く強さ。たった一本の木にあるのは、数え切れないほどの物語だ。

 ゆるやかに吹き抜ける風。白い花が日差しと一緒になって、はらはら降りそそいでくる。

(2015年6月25日掲載)

桐生自然観察の森で出合った生き物を紹介しています。
 icon-link 桐生自然観察の森、電話:0277-65-6901

関連記事: