不審者と疑う前に

 「防犯メールで不審者情報が出るたびに、うちの子ではないだろうかと、ヒヤッとしちゃうのよね」―。桐生市内で3人の子を育てている母親(49)は、複雑な笑顔を浮かべながらそうつぶやいた▼子育て中の親なら誰しも抱く不安だが、少し違う。自分の子が被害に遭ったのではないかと心配するのではなく、加害者になってしまうことを恐れているのだ▼その母親には自閉症の20代の息子がいる。ある日、スーパーで泣いている女児がいたので息子君が近寄って立っていたら、不審者扱いされそうになったという▼そんな息子君がふらっと散歩に出て、路上で女児に接触しようものなら、不審者として通報される事態になりかねない。不審者メールを受信してその母親がまず気にするのは「男の特徴」だという。その日の息子君の服装を想像し、違えば一安心▼児童の見守り活動をしていた元保護者会長が女児殺害の容疑で逮捕される事件が起きたこともあり、子どもの周囲への警戒感はより強まっている。だが、路上でニコニコしている人がいるだけで不審者扱いするような風潮は地域としても息苦しいし、冤罪の恐れもある▼被害者意識だけでなく、広い視野と多様性への理解も忘れたくない。(

打てば響く器の懐疑

 著名人の暦をひもといていたら、大平正芳さんのにこやかな顔が現れた。亡くなったのは1980年6月。享年70。現職首相としてダブル選挙のさなかの急逝であったことを思い出す。

祇園祭応援団、市制100年に向け新5カ年計画策定へ

 官民協同の“桐生祇園祭応援団”「桐生の文化遺産継承発信事業実行委員会」(奈良彰一委員長)が取り組む祇園・屋台・鉾(ほこ)を核とした桐生の文化遺産を継承発信する事業が、文化庁の2017年度文化芸術振興費補助金に採択された。実行委員会では今年度、本町二丁目屋台の舞台修繕と同四丁目の大幟(おおのぼり)修繕、祇園囃子(ばやし)の継承事業に取り組む一方、今後、5カ年の事業計画を作成し、桐生の伝統文化を多くの人々に伝える意向だ。

3年連続で取水制限、渡良瀬川、あすから10%

 国と水資源機構、群馬・栃木両県でつくる渡良瀬川水利使用調整連絡協議会(事務局・国土交通省渡良瀬川河川事務所)は22日、渡良瀬川からの10%取水制限を23日午前9時から開始することを決めた。同制限は3年連続。

柔らか軟らか

 以前、脳科学の講演会で「鳥類は写真を撮ったように正確に記憶する」という話を聞いた。あまりに正確であるため、木の成長や季節変化などで状況が変わると、目の前の景色と記憶を同一のものだと認識できないという▼その点、ヒトの記憶はあいまいで、多くの人は見たままを正確に覚えられない。だからこそ、変化する状況に適応できるらしい。かっちり固まった正確性と、あいまいな柔軟性の対比がとても印象的な話だった▼また別のとき。ある植物研究者から「多くの植物は『例外』という柔軟性に富むからこそ強さがある」と聞いた。植物種ごとの標準的な特徴は、過去の研究を基に図鑑にまとめられていて、それらは貴重な記録の積み重ねだ。しかし、図鑑に当てはまらない例外が生まれる、という柔軟性こそが植物、そして生物の強さだという。加えて「例外を持たず固まりすぎると、もろい部分ができる」とも▼自然界の柔軟性は許容範囲が広く、個体差による大きさや色の違いはもちろん、種の特徴をかけ離れる場合すらある。標準と例外の持つ幅広さと、そこから生まれる多様性こそが、生き抜くために大切な部分。それぞれの柔軟性こそが生物共通の魅力なのだろう。(